名古屋で飲食店の閉店・撤退を考えたとき、多くのオーナー様が最初に気になるのが、
「この店、居抜きでいくらで売れる?」
ということではないでしょうか。
例えば、
「内装と厨房に1,000万円以上かけた」
「開業してまだ1年しか経っていない」
「冷蔵庫や製氷機も新しい」
「焼肉店なのでロースターや排煙設備にかなりお金がかかっている」
「駅から近いから高く売れると思う」
など、店舗によってさまざまな特徴があります。
しかし、飲食店の居抜き売却には、
「20坪なら○○万円」
「開業費用の半額で売れる」
といった一律の価格表があるわけではありません。
同じ20坪の飲食店でも、
300万円で検討される店舗もあれば、それより高い金額で検討される店舗もあります。
反対に、開業時に1,000万円以上かけていても、買主からほとんど評価されないケースもあります。
では、
飲食店の居抜き価格は一体何で決まるのでしょうか?
今回は名古屋市を中心に飲食店の居抜き売却・店舗売却・造作譲渡を取り扱う居抜キングが、
飲食店の造作価格・査定額が決まる仕組みと、高く売れやすい店舗の特徴
を実際の店舗売却事例も交えながら詳しく解説します。
飲食店の「居抜き価格」とは?
まず居抜き売却の価格について整理しておきましょう。
賃貸店舗の場合、通常は建物そのものを売却するわけではありません。
売買の対象になるのは主に、
厨房設備。
内装。
カウンター。
テーブル・椅子。
空調。
ダクト。
照明。
その他設備・造作。
などです。
これらを次の出店者へ引き継ぐことを、
造作譲渡
と呼びます。
そして、その造作等を譲渡する価格が、
一般的に、
「居抜き価格」「造作価格」「造作譲渡価格」
などと呼ばれています。
「査定価格」「募集価格」「成約価格」は違う
居抜き売却を考えるうえで、最初に理解しておきたいのが、
査定価格
募集価格
成約価格
の違いです。
例えば居抜キングが店舗を確認して、
「400万円前後が一つの目安ではないか」
と査定したとします。
これが、
査定価格
です。
しかし売主様から、
「少し高めからスタートしたい」
という希望があれば、例えば450万円や500万円などで募集を始めることも考えられます。
これが、
募集価格
です。
その後、買主から、
「400万円なら購入したい」
と交渉が入り、最終的に400万円で双方が合意すれば、
400万円が成約価格
になります。
つまり、
査定価格=必ず売れる金額
ではありません。
そして、
募集価格=店舗の本当の価値
とも限りません。
最終的な成約価格は、売主と買主双方の条件が合意して決まります。
飲食店の造作価格に「定価」はない
居抜き査定で難しいのは、
定価がない
ことです。
例えば中古車なら、
車種。
年式。
走行距離。
グレード。
事故歴。
などから、ある程度市場価格を比較できます。
しかし店舗は、
住所。
家賃。
面積。
階数。
内装。
厨房。
設備。
業態。
建物。
契約条件。
などがすべて違います。
まったく同じ店舗は存在しません。
そのため、
「名古屋の居抜き店舗は平均○○万円」
という数字だけで自分の店舗価値を判断することは難しいのです。
飲食店の居抜き査定で見る15のポイント
居抜キングでは、飲食店の居抜き価格を考える際に、店舗全体を見て判断します。
代表的な査定ポイントとして、
①立地
②家賃
③店舗面積
④階数・視認性
⑤内装状態
⑥厨房設備
⑦厨房機器の年式・状態
⑧厨房レイアウト
⑨グリストラップ・給排水
⑩ダクト・排気設備
⑪電気・ガス設備
⑫空調設備
⑬現在の業態
⑭他業態への転用性
⑮売却まで残された時間
などがあります。
つまり、
厨房機器だけを見て査定するわけではありません。
店舗全体として、
「次の出店者がどのくらい価値を感じるか」
を考えます。
①立地|名古屋のどこにある店舗なのか
店舗売却では、当然ながら立地は重要です。
名古屋市内でも、
名駅。
栄。
錦。
金山。
大須。
伏見。
新栄。
今池。
泉。
東桜。
覚王山。
本山。
藤が丘。
御器所。
など、それぞれ店舗需要や向いている業態が異なります。
駅から近い。
繁華街。
人通りがある。
1階路面。
視認性が高い。
といった条件は、買主から検討されやすくなる要素の一つです。
しかし、
「栄だから高い」「名駅だから必ず高く売れる」
と単純には判断できません。
②家賃|造作価格と同じくらい重要
居抜き価格を考えるとき、
家賃は非常に重要です。
例えば同じ造作価格300万円でも、
月額家賃20万円の店舗。
月額家賃50万円の店舗。
では、買主が出店後に負担する固定費が大きく違います。
買主は造作価格だけでなく、
保証金等。
家賃。
改装費。
厨房追加費用。
人件費。
仕入れ。
運転資金。
なども考えています。
つまり、
買主が見るのは「造作がいくらか」だけではなく「この店を始めるのに全部でいくら必要か」
なのです。
立地が良くても、家賃負担が大きければ買主候補が限定される可能性があります。
③店舗面積|大きい店舗ほど高く売れるとは限らない
「30坪あるから10坪の店より高く売れる」
とは限りません。
店舗面積が大きくなると、
厨房設備。
客席。
内装。
などの造作量は増える傾向があります。
しかし同時に、
家賃総額。
保証金等。
光熱費。
必要人員。
改装費。
運転資金。
なども大きくなりやすくなります。
そのため大型店舗では、検討できる買主が限られる場合があります。
一方、小型店舗は、
個人開業者。
少人数営業。
低予算出店。
などの需要と合えば、買主候補が広がる可能性があります。
坪数が大きい=居抜き価格が高い
という単純な計算ではありません。
④1階・2階・空中階で価値は変わる?
一般的に、
1階。
路面。
視認性が高い。
という条件は飲食店にとってプラス材料になりやすいでしょう。
しかし、
2階以上だから価値がないわけではありません。
例えば、
BAR。
スナック。
予約制飲食店。
目的来店型店舗。
などは、1階路面でなくても営業できる業態があります。
重要なのは、
その場所・階数に合った業態の買主を探すこと
です。
⑤内装|高級な内装=高い造作価格ではない
ここは非常に重要です。
開業時に内装へ800万円かけた。
高級素材を使った。
デザイナーへ依頼した。
非常に豪華な店舗。
だから、
「内装だけでも500万円以上の価値がある」
と思われるかもしれません。
しかし買主が、
「全部自分好みに変えたい」
と考えていたらどうでしょうか。
その場合、売主が800万円かけた内装でも、買主にとっては大きな価値にならない可能性があります。
逆に、
シンプル。
清潔。
使いやすい。
他業態にも変更しやすい。
少し手を加えれば営業できる。
という内装の方が、多くの買主から検討されることがあります。
つまり、
「高い内装」と「売りやすい内装」は違う
ということです。
⑥厨房設備|飲食店の査定では重要
飲食店の居抜き売却では、厨房設備は重要な査定項目です。
例えば、
業務用冷蔵庫。
冷凍庫。
製氷機。
食器洗浄機。
フライヤー。
ガスレンジ。
茹で麺機。
スチームコンベクションオーブン。
作業台。
シンク。
などです。
しかし、
設備の購入価格を合計すれば造作価格になる
わけではありません。
買主がその設備を使うかどうか。
年式。
状態。
配置。
厨房全体の使いやすさ。
なども関係します。
⑦厨房機器は「新しい=そのまま高額査定」ではない
比較的新しい厨房機器はプラス材料になり得ます。
しかし、
高額な機械だから高額査定になる。
とは限りません。
例えば売主が100万円で購入した機器でも、買主が使わないのであれば、その買主にとっての価値は限定的です。
逆に、
冷蔵庫。
製氷機。
食洗機。
シンク。
作業台。
など、多くの飲食店で利用しやすい設備が揃っていれば、
店舗全体の使いやすさ
につながります。
⑧厨房レイアウト|設備の値段より重要なこともある
厨房機器が揃っていても、
動線が悪い。
厨房が狭い。
客席との位置関係が悪い。
作業スペースがない。
という状態では、買主が大規模な改装を考える可能性があります。
一方、
仕込み。
調理。
提供。
洗浄。
までの動線が使いやすければ、
買主が、
「このまま使える」
と判断する可能性があります。
居抜き店舗では、
設備単品だけではなく、
厨房全体が完成している価値
を見る必要があります。
⑨グリストラップ・給排水は重要
飲食店の査定で見落とせないのが、
水回り
です。
グリストラップ。
給水。
排水。
給湯。
厨房床。
などは、新規で工事を行うと出店費用に影響する設備です。
特に重飲食では、
「厨房機器を置けば営業できる」
わけではありません。
設備を設置するためのインフラが重要です。
そのため、買主にとって使いやすい給排水環境が整っていることは、店舗価値を考える材料になります。
⑩ダクト・排気設備|焼肉・焼鳥・中華などでは特に重要
焼肉。
焼鳥。
中華。
ラーメン。
居酒屋。
などでは、
排気設備
が重要になります。
ダクト経路。
排気能力。
フード。
屋外への排気。
など、業態によって必要条件が異なります。
特に焼肉店では、
ロースター。
排煙設備。
ダクト。
ガス設備。
空調。
などが揃っていることが、同業態の買主にとってメリットになる場合があります。
⑪電気・ガス設備
飲食店では、
電気容量。
ガス設備。
も重要です。
厨房機器を増設したい買主にとって、
設備容量が不足していれば追加工事が必要になる可能性があります。
買主は、
造作価格+追加工事費
で出店費用を考えます。
そのため、
「設備があるか」
だけでなく、
次の店が使えるインフラが整っているか
を見る必要があります。
⑫空調設備
飲食店では空調も重要です。
客席用。
厨房用。
店舗面積に対する能力。
設備状態。
などを確認します。
特に厨房は熱が発生しやすいため、空調と排気のバランスも重要になります。
⑬現在の業態だけで価格を考えない
例えば現在が居酒屋だからといって、
次の買主も居酒屋でなければならないわけではありません。
厨房設備によっては、
焼鳥。
中華。
韓国料理。
定食。
海鮮。
その他飲食業態。
へ転用できる可能性があります。
次に何の店として使えるか
という視点を持つことで、店舗価値の見え方が変わる場合があります。
⑭他業態へ転用しやすい店舗は強い
居抜き店舗では、
汎用性
も重要です。
内装が非常に特殊。
厨房が特定業態専用。
設備配置を変更しにくい。
という店舗は、買主が限定される可能性があります。
反対に、
シンプルな内装。
使いやすい厨房。
十分な給排水。
排気設備。
適度な店舗面積。
などが揃っていれば、複数業態から検討される可能性があります。
⑮売却まで残された時間
そして意外に重要なのが、
時間
です。
同じ店舗でも、
退去まで6カ月。
退去まで3カ月。
退去まで2週間。
では、売却戦略が変わります。
時間があれば、
募集。
問い合わせ。
内覧。
条件交渉。
価格調整。
貸主側との調整。
契約。
を進められます。
しかし退去期限直前では、買主が見つかる前に原状回復へ切り替えなければならない場合があります。
つまり、
店舗そのものの価値が同じでも、売却に使える時間によって結果が変わる可能性がある
のです。
【実例】栄4丁目・焼肉店|希望1,200万円→最終300万円
ここからは、実際の事例を見てみましょう。
名古屋市中区栄4丁目にあった焼肉店です。
店舗は、
2階・20.5坪。
営業期間は約1年2カ月。
オーナー様は焼肉店で約7年間修業してから独立し、店舗をオープンしました。
店内には、
天井吊り下げ式の無煙ロースターを10台設置。
内装や厨房設備にも多額の費用をかけ、営業期間も短かったため店内は比較的きれいな状態でした。
オーナー様の希望売却価格は、
1,200万円。
一方、当社の査定は、
約400万円。
約800万円の開きがありました。
なぜ新しくて設備もある焼肉店が1,200万円では売れなかったのか?
理由は、
「いくらかけたか」と「いくらで買いたいか」は違う
からです。
売主様から見れば、
修業して独立した。
高額な設備を入れた。
内装にもお金をかけた。
まだ新しい。
という店舗です。
しかし買主は、
造作価格だけでなく、
家賃。
保証金等。
追加改装。
仕入れ。
人件費。
広告費。
運転資金。
まで考えます。
つまり、
1,200万円の造作を買ったあと、さらに開業資金が必要
なのです。
約4カ月募集し、最終的に300万円で成約
この店舗は約4カ月募集し、その間に価格を複数回見直しました。
そして最終的には、
300万円で居抜き売却が成立。
オーナー様には約1,000万円の借入残高があり、売却後にも大きな負担が残る結果となりました。
結果論ではありますが、
当初から400~500万円前後など、市場との乖離を抑えた価格帯で募集していれば、より早い段階で買主候補を見つけられた可能性はあった
と考えられます。
もちろん、
「400万円なら必ず売れた」
という意味ではありません。
居抜き売却に絶対はありません。
しかし、
最初の価格設定が売却結果に大きく影響する可能性がある
ことが分かる事例です。
【実例】錦3丁目BAR|希望800万円→不成約
もう一つの事例が、名古屋市中区錦3丁目のBARです。
店舗は、
5階・11坪。
営業期間は約1年。
開業時には約1,000万円の費用をかけ、店内は新しく豪華な造りでした。
立地も決して悪い場所ではありません。
オーナー様の希望価格は、
800万円。
しかし当社査定は、
約150万円。
こちらも大きな価格差がありました。
豪華で新しい店舗でも「買主が欲しい価格」とは限らない
このBARは非常にきれいな店舗でした。
しかし、
内装には好みがあります。
売主様にとっては、
「1,000万円かけた豪華なBAR」
でも、
買主が、
「自分のコンセプトに合わない」
と判断すれば改装が必要になります。
さらに、この店舗は定期建物賃貸借契約で、契約期間との関係も買主が検討する材料になります。
結果として、
約3カ月800万円で募集したものの成約には至らず、
最終的にスケルトンへ戻し、原状回復費は約240万円。
となりました。
造作価格で最も危険なのは「自分が使った金額」だけで考えること
この2つの事例に共通するのは、
店舗自体がボロボロだったわけではないことです。
むしろ、
比較的新しい。
設備にお金をかけている。
内装にもこだわっている。
という店舗でした。
それでも希望価格では売れませんでした。
なぜなら、
居抜き価格を決めるのは過去に使った金額ではなく、現在その店舗を必要としている買主だからです。
これは飲食店の居抜き売却で非常に重要な考え方です。
高く売るとは「一番高い値札を付けること」ではない
店舗を高く売りたい。
これは当然です。
しかし、
1,000万円で募集して売れない店舗
と、
400万円で実際に売却できた店舗
なら、実際にお金が残るのは後者です。
さらに長期間募集すれば、
その間の家賃等。
営業損失。
原状回復準備。
退去期限。
なども関係します。
そのため居抜き売却では、
最高の募集価格を付けることより、最終的な手残りを最大化すること
を考える必要があります。
前編まとめ|飲食店の居抜き価格は「買主目線」で決まる
名古屋で飲食店を居抜き売却するとき、
開業費。
厨房機器の購入価格。
内装工事費。
借入残高。
売主様の希望価格。
だけで造作価格を決めることはできません。
重要なのは、
次の出店者から見た店舗価値
です。
立地。
家賃。
坪数。
階数。
厨房。
内装。
グリストラップ。
給排水。
ダクト。
空調。
電気・ガス。
業態転用。
そして売却期間。
これらを総合的に考えて、
「この店舗ならいくらで買主が検討する可能性があるか」
を判断します。
だからこそ、
「いくらで売りたいか」
だけではなく、
「いくらなら売れる可能性があるか」
という視点が必要です。
後編では「高く売れる飲食店の特徴」をさらに詳しく解説
後編では、
高く売れやすい飲食店の特徴
1階小型店舗が検討されやすい理由
業態別の査定ポイント
ラーメン・焼肉・居酒屋・カフェ・BARの違い
造作価格を上げるために売却前にできること
値下げするタイミング
問い合わせ・内覧・申込みから適正価格を判断する方法
0円造作でも得になるケース
原状回復費を含めた「本当の手残り」の考え方
まで詳しく解説します。
そして最後に、
名古屋で飲食店の居抜き査定を依頼するときに準備しておきたいもの
についても紹介します。
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