名古屋で飲食店や店舗を居抜きで売却するとき、
「造作譲渡契約書って必要なの?」
「厨房機器をそのまま渡すだけだから、簡単な書面でいいのでは?」
「買主と話がまとまっているから大丈夫」
と思っていませんか?
しかし、居抜き売却で本当に注意しなければならないのは、売却するときだけではありません。
むしろ重要なのは、
「店舗を引き渡した後にトラブルにならないこと」
です。
例えば引渡し後に買主から、
「冷蔵庫が壊れていたから修理代を払ってほしい」
「製氷機の調子が悪い」
「エアコンが効かない」
「聞いていた設備と違う」
「この機械も造作代金に含まれていると思っていた」
などと言われたらどうでしょうか。
中古設備を含む居抜き店舗では、新品の店舗設備を購入する取引とは事情が違います。
だからこそ、何を、どのような状態・条件で譲渡するのかを契約書で明確にしておくことが非常に重要です。
名古屋市を中心に店舗の居抜き売却をサポートする居抜キングでは、造作譲渡契約書を単なる手続き上の書類とは考えていません。
大切なのは、
売却後に売主が不必要な責任を負わない契約になっているか。
今回は、店舗を居抜きで売却する際の造作譲渡契約書と、売却後のトラブルを防ぐために確認しておきたいポイントを解説します。
そもそも造作譲渡契約とは?
造作譲渡とは、店舗内にある内装・設備・什器などを、現在の店舗オーナーから次の出店者へ譲渡する取引です。
飲食店であれば、
業務用冷蔵庫。
冷凍庫。
製氷機。
食器洗浄機。
フライヤー。
ガスレンジ。
ダクト。
カウンター。
テーブル。
椅子。
棚。
厨房作業台。
など、さまざまな物が対象になる可能性があります。
ただし、店舗にある物すべてが売主所有とは限りません。
貸主所有設備やリース品、レンタル品などが含まれている場合もあります。
だからこそ、
「何を譲渡するのか」
を契約時に明確にする必要があります。
口約束だけで居抜き店舗を売るのは危険
例えば売主と買主の間で、
「店にある物はそのまま全部置いていきます」
と話したとします。
そのときは双方納得していても、引渡し後になると認識が変わることがあります。
売主は、
「厨房設備を残すという意味だった」
と思っている。
買主は、
「店内にあった物は全部もらえると思っていた」
と考えている。
これだけでもトラブルの原因になります。
反対に売主が撤去する予定だった設備について、
「それも残してもらえると思っていた」
と言われる可能性もあります。
口約束は、後になって「言った・言わない」になりやすい。
だから居抜き売却では契約書が重要なのです。
居抜き売却で特に怖いのが「引渡し後の設備トラブル」
飲食店の居抜き売却で特に注意したいのが厨房機器です。
厨房設備は毎日使用されています。
そのため、引渡し時点では動いていても、
数日後。
数週間後。
数カ月後。
に故障する可能性があります。
例えば10年使用している業務用冷蔵庫があったとします。
売却時には正常に冷えていた。
しかし買主が営業を始めてから故障した。
そこで、
「最初から壊れかけていたんじゃないですか?」
「修理代を負担してください」
と言われたら困ります。
中古設備には、新品のような将来の動作保証を期待できないものもあります。
だからこそ、設備の状態と売却後の責任について契約書で整理しておくことが重要です。
「現状有姿だから大丈夫」だけでは考えない
居抜き売却では、
「現状有姿」
という言葉が使われることがあります。
しかし、契約書にこの一言を書いておけば何でも解決する、と考えるのは危険です。
重要なのは、
何を譲渡するのか。
どのような状態なのか。
売主が把握している不具合はあるのか。
引渡し後に設備が故障した場合どう扱うのか。
どこまで売主が責任を負うのか。
こうした内容を取引に合わせて整理することです。
契約書は、
「魔法の一文を入れるもの」ではなく「売主と買主の認識を一致させるもの」
と考えた方が分かりやすいでしょう。
売主を守るために重要① 譲渡する物を明確にする
まず重要なのが譲渡対象です。
例えば、
冷蔵庫1台。
冷凍庫1台。
製氷機1台。
食器洗浄機1台。
フライヤー2台。
テーブル10台。
椅子30脚。
などです。
反対に、
POSレジ。
パソコン。
スマートフォン。
個人所有の備品。
店名入りの物。
リース設備。
など、売主が持ち出すものがあるなら明確にします。
「店にある物全部」では曖昧です。
何を残して、何を撤去するのか。
これを契約時に整理するだけでもトラブル防止につながります。
売主を守るために重要② 設備の所有者を確認する
厨房に置いてあるからといって、すべて売主所有とは限りません。
例えば、
リース中の食器洗浄機。
レンタルしているPOS。
貸主所有のエアコン。
前テナントの残置設備。
などが混ざっている場合があります。
所有権のない設備を売却対象にしてしまえば、別の問題が発生します。
造作譲渡前には、
「この設備は誰の物なのか?」
を確認することが大切です。
売主を守るために重要③ 既知の不具合は隠さない
売主を守る契約書というと、
「売主が一切責任を負わないようにすればいい」
と思われるかもしれません。
しかし、それだけではありません。
売主が明らかに把握している故障・不具合があるなら、それを買主へ伝えておくことがトラブル防止につながります。
例えば、
「製氷機は現在故障中」
「エアコン1台は効きが弱い」
「冷蔵庫の扉パッキンが劣化している」
などです。
事前に分かっていれば、買主はそれを踏まえて購入判断できます。
反対に、売主が把握している重大な不具合を説明せず、
「ノークレームだから知りません」
という進め方では、かえってトラブルにつながる可能性があります。
売主を守ることと、重要な事実を隠すことは別です。
売主を守るために重要④ 中古設備であることを理解してもらう
居抜き店舗の設備は、その多くが営業で使用されてきた中古品です。
中古設備には経年劣化があります。
引渡し後も永久に正常動作することを売主が保証するような取引にしてしまえば、売主にとって大きなリスクになります。
だからこそ買主にも、
「中古設備を含む店舗を現在の状態で引き継ぐ取引である」
ことを理解してもらう必要があります。
これは買主を軽視することではありません。
最初から取引条件を明確にすることで、双方が納得して契約できるようにするためです。
売主を守るために重要⑤ 引渡し後の責任範囲を明確にする
ここは非常に重要です。
引渡し後、
「冷蔵庫が壊れた」
「製氷機が動かなくなった」
「エアコンから水が漏れた」
といったことが起こる可能性があります。
そのとき、
誰が修理するのか。
売主へ請求できるのか。
どのような場合に売主が責任を負うのか。
これが曖昧だと揉めます。
そのため契約書では、取引内容に応じて、設備等の状態や契約不適合に関する責任範囲を明確にしておくことが重要です。
売却代金を受け取って引渡しを終えたのに、何カ月も設備の修理請求を受け続ける。
そのような状態にならないようにすることが、造作譲渡契約書の重要な役割の一つです。
売主を守るために重要⑥ 「いつの状態」で引き渡すかを決める
契約日から引渡日まで店舗営業を続けるケースもあります。
例えば契約から引渡しまで1カ月。
その1カ月の間も厨房設備を使用します。
そうすると契約時には正常だった設備が、引渡しまでに故障する可能性もあります。
その場合どうするのか。
契約時点の状態なのか。
引渡し時点の現状なのか。
重大な故障が発生した場合どうするのか。
こうした点も取引内容に応じて整理しておくと、よりトラブルを防ぎやすくなります。
売主を守るために重要⑦ 造作売買と賃貸借契約を混同しない
店舗の居抜き売却で非常に重要なのが、
「造作を買うこと」と「店舗を借りられること」は別
という点です。
買主が造作を購入したいと言っていても、貸主側の入居審査を通過するとは限りません。
そのため、
「造作売買契約を結んだのに物件を借りられなかった」
という問題を避けるためにも、賃貸借契約との関係を考えて契約を組み立てる必要があります。
契約の成立条件、解除条件、支払時期などは非常に重要です。
売主を守るために重要⑧ 支払時期を明確にする
造作代金についても、
「あとで振り込みます」
だけでは危険です。
契約時。
手付金。
残代金。
引渡し時。
など、いつ、いくら支払うのかを明確にしておきます。
そして、
入金確認と引渡しの関係
も重要です。
店舗を引き渡したのに造作代金が入ってこない、という事態は避けなければなりません。
売主を守るために重要⑨ 引渡し日を明確にする
「来月くらいに引き渡します」
ではなく、
いつ売主の営業が終了し、いつ買主へ引き渡すのか
を明確にします。
売主は閉店準備があります。
買主は開業準備があります。
さらに貸主・管理会社との賃貸借契約もあります。
引渡し時期が曖昧だと、双方の予定が崩れてトラブルになりやすくなります。
売主を守るために重要⑩ 解除・違約時のルールを決める
契約後に、
「やっぱり買うのをやめます」
と言われたらどうするのか。
反対に、売主側が契約を履行できなくなった場合はどうするのか。
入居審査が通らなかった場合はどうするのか。
契約を解除できる条件。
支払済み金銭の扱い。
違約金の有無。
こうしたルールを事前に決めておくことも重要です。
トラブルが起きてからルールを決めるのでは遅い。
何か起きたときにどうするのかを、何も起きていない契約時に決めておく。
それが契約書です。
「ノークレームで売る」ためには契約前の整理が重要
居抜キングでは、店舗を売却したあとに売主様が設備トラブルなどで悩まされないよう、契約内容を非常に重視しています。
実際、弊社が取り扱う造作譲渡では、契約内容を事前に整理していることで、売却後に大きなクレームやトラブルへ発展するケースはほとんどありません。
重要なのは、
「ノークレームと書けば終わり」
ではありません。
譲渡対象を明確にする。
設備状態を確認する。
既知の不具合を伝える。
所有関係を確認する。
中古設備であることを理解してもらう。
責任範囲を整理する。
支払条件を決める。
引渡し条件を決める。
解除条件を決める。
ここまで整理したうえで、売主と買主が納得して契約することです。
良い契約書とは、トラブルになったときに戦うためだけの契約書ではありません。
そもそもトラブルを起こさないための契約書です。