名古屋市昭和区阿由知通3丁目で営業されていた定食屋について、店舗売却・居抜き売却のご相談をいただきました。
今回の店舗は、ビル1階・約18坪。
営業期間は約7年。
御器所駅から徒歩圏内で、立地条件も良く、売上についても決して悪い店舗ではありませんでした。
通常、店舗売却のご相談では、
「売上が下がった」
「人件費が高くなった」
「家賃負担が重い」
「人手不足で営業できない」
といった経営上の理由が多くあります。
しかし、今回の売却理由は違いました。
店主様の病気です。
お店が流行っていなかったわけでもありません。
立地が悪かったわけでもありません。
店主様自身も、本当はまだまだ営業を続けたかった。
それでも体調の問題から、今まで通り店舗を続けることが難しくなり、泣く泣く売却を決断されました。
店舗売却に携わっていると、売れればすべて「良かったですね」で終わる案件ばかりではありません。
今回も最終的には、
売却期間46日。
居抜き売却価格390万円。
で買主様が決まりました。
さらに、
原状回復費約230万円も削減。
金額だけを見れば、しっかりと店舗価値を残した売却です。
それでも個人的には、
「本当はもっとこの店を続けたかったんだろうな」
という気持ちが残る、少し心が切なくなる一件でした。
今回の定食屋の居抜き売却概要
今回の店舗概要は以下のとおりです。
所在地:名古屋市昭和区阿由知通3丁目
業種:定食屋
所在階:ビル1階
店舗面積:約18坪
営業期間:約7年
売却理由:店主様の病気により営業継続が難しくなったため
売却期間:46日
居抜き売却価格:390万円
譲渡先:居酒屋開業希望者
次店舗予定業態:居酒屋
原状回復費削減額:約230万円
業態は、
定食屋から居酒屋へ。
既存の厨房や飲食店設備を活かしながら、次の経営者へ店舗を引き継ぐ形となりました。
※店舗名、ビル名、売主様・買主様を特定できる情報や詳細な賃貸条件等については、プライバシー保護のため一部非公開としています。
御器所駅徒歩圏内・1階という良い店舗条件
今回の店舗があった阿由知通3丁目は、御器所駅から徒歩圏内。
周辺には住宅、事務所、学校、飲食店などがあり、地域住民だけでなく周辺で働く方などの飲食需要も期待できるエリアです。
さらに今回の店舗は、
ビル1階。
飲食店の居抜き売却では、非常に重要な条件です。
1階店舗は、
通行人から認識されやすい。
入店しやすい。
看板を見てもらいやすい。
厨房機器を搬入しやすい。
といったメリットがあります。
今回の店舗も、立地面に大きな問題があったわけではありませんでした。
売上不振による閉店ではなかった
今回の成約事例で一番お伝えしたいのは、この部分です。
店舗を売却するからといって、
必ずしも経営に失敗したわけではありません。
今回の定食屋には売上もありました。
営業期間も約7年。
地域で営業を続けてきた店舗です。
それでも、店主様が病気になってしまえば、これまでと同じように厨房へ立ち、仕込みをして、お客様を迎え続けることが難しくなる場合があります。
飲食店は特に、店主自身が現場の中心となっている店舗も少なくありません。
店主が料理を作る。
仕入れをする。
仕込みをする。
常連のお客様と話をする。
店を開け、最後に店を閉める。
そうやって何年も続けてきた店ほど、店主の存在そのものが店舗の一部になっています。
だからこそ、体調の問題による閉店は簡単な決断ではありません。
「辞めたい」のではなく「続けられない」
今回の店主様は、
売上が悪いから辞めたい。
別の商売をしたい。
という理由ではありませんでした。
本当はもっと営業していたかった。
それでも身体のことを考えれば、無理をして営業を続けることはできない。
店舗売却をお手伝いする立場としても、こういう案件は少し複雑な気持ちになります。
もちろん、買主様が見つかり、390万円で店舗を売却できたことは良い結果です。
しかし、
「売れたからすべて良かった」
とは言い切れません。
店主様が長く続けてきた店を手放さなければならない事情を考えると、個人的にも心が切なくなる案件でした。
それでも店舗を壊さず次へつなぐことができた
だからこそ今回、
居抜きで次の経営者へ店舗を引き継げたこと
には意味があったと思います。
もし買主様が見つからなければ、店主様が7年間使ってきた厨房や内装、造作を撤去し、店舗を原状回復して返却する可能性がありました。
しかし今回は、
居酒屋の開業を希望されていた買主様
が店舗を引き継ぐことになりました。
定食屋としての営業は終わります。
それでも、店舗そのものは飲食店として残ります。
18坪は飲食店で使いやすい広さ
今回の店舗面積は、
約18坪。
居抜き店舗として比較的扱いやすいサイズです。
大きすぎれば、
家賃。
人件費。
水道光熱費。
必要スタッフ数。
などの負担が大きくなります。
逆に小さすぎると、厨房や客席の配置に制限が出ます。
18坪程度であれば、一定の厨房スペースと客席を確保しながら、少人数での営業も検討できます。
定食屋だけでなく、
居酒屋。
焼き鳥。
和食。
中華。
カフェ。
など、さまざまな飲食業態が検討しやすいサイズです。
この使いやすさも、今回の売却ではプラスになりました。
営業7年でも390万円で売却
今回の店舗は営業約7年。
決して新しい店舗ではありません。
それでも、
居抜き売却価格390万円
で成約しました。
居抜き店舗では、
「営業年数が長いから価値がない」
とは限りません。
厨房設備の状態。
空調。
給排水。
内装。
店舗サイズ。
立地。
家賃。
次の買主がどこまで利用できるか。
こうした条件を総合して店舗価値が決まります。
今回の場合、
御器所駅徒歩圏内。
1階。
18坪。
飲食店として使用できる店舗。
という条件があり、営業7年でも買主様から評価されました。
定食屋から居酒屋へ居抜き売却
今回の買主様は、
居酒屋の開業希望者。
業態は、
定食屋→居酒屋
です。
まったく同じ業態ではありませんが、設備面では共通する部分があります。
例えば、
厨房。
シンク。
給排水。
ガス設備。
冷蔵設備。
空調。
トイレ。
客席。
などです。
既存設備を利用できれば、スケルトン状態から店舗を作る場合と比較して、開業時の工事費を抑えられる可能性があります。
飲食店から飲食店への引き継ぎは相性が良い
居抜き売却では、
定食屋なら次も定食屋
である必要はありません。
今回のように、
定食屋から居酒屋。
という売却も十分可能です。
買主様が既存厨房や設備を利用できると判断すれば、前店舗と違う業態でも成約につながります。
むしろ買主様にとっては、使えるものを残しながら自分の店に合わせて改装することで、初期投資を抑えられることがあります。
売却期間は46日
今回、買主様が決まるまでにかかった期間は、
46日。
約1か月半です。
御器所駅徒歩圏内。
1階。
18坪。
という条件は良かったものの、居抜き売却では最終的に、
価格。
家賃。
設備。
買主の希望業態。
貸主の入居審査。
などが合わなければ成約にはなりません。
今回は条件の合う居酒屋開業希望者とマッチングし、46日で無事に成約となりました。
原状回復費230万円を削減
今回、居抜き売却が成立しなかった場合、
原状回復費約230万円
が見込まれていました。
18坪の飲食店でも、
厨房設備の撤去。
カウンターや客席造作の撤去。
内装解体。
廃材処分。
搬出。
などを行えば、原状回復費が200万円を超えることがあります。
店主様にとっては、病気で営業を続けられなくなったうえに、さらに230万円を支払って店を壊すことになれば大きな負担です。
今回は居抜き売却が成立したことで、この費用を削減することができました。
390万円で売却+230万円を削減
今回の経済的な効果を単純比較すると、
居抜き売却価格390万円
に加えて、
原状回復費約230万円を削減。
つまり、
390万円+230万円=最大約620万円
の経済的な差につながる可能性があります。
※実際の手取り額や経済効果は、仲介費用、設備所有権、リース残債、賃貸借契約の内容等によって異なります。
390万円で売却できたことだけではありません。
本来なら230万円を支払って壊す可能性があった店舗を、そのまま次の経営者へ引き継げた。
ここが居抜き売却の大きなメリットです。
病気や体調不良の場合は特に早めの相談を
飲食店を経営されている方の中には、
体調が悪くても、
「もう少し頑張ろう」
「常連さんがいるから休めない」
「スタッフに迷惑をかけられない」
と無理をしてしまう方もいます。
しかし、店舗売却には一定の時間が必要です。
今回も46日かかりました。
買主探しだけでなく、条件調整、貸主への確認、入居審査などが必要になる場合もあります。
体調に不安を感じているのであれば、
まだ営業できている段階で相談していただく方が、売却の選択肢を残しやすくなります。
営業中の店舗だからこそ価値が伝わることもある
店舗が完全に閉店して何か月も経過すると、
清掃ができない。
設備を動かせない。
店内が暗い。
空調や厨房機器の状態を確認しにくい。
といった問題が出てくることがあります。
営業中であれば、買主様も、
厨房の使い方。
客席配置。
店内導線。
店舗の雰囲気。
などをイメージしやすくなります。
そのため、体調上の事情で閉店を考えている場合も、完全に営業できなくなるまで待つ必要はありません。
今回は「売れてよかった」だけでは終われない成約でした
今回の店舗は、
46日・390万円で売却。
原状回復費230万円を削減。
数字だけを見れば、無事にまとまった成約事例です。
買主様も決まり、店舗も次の居酒屋へ引き継がれます。
それでも今回については、
単純に、
「高く売れて良かった」
という気持ちだけではありませんでした。
7年間営業してきて、売上もある。
立地も悪くない。
店主様自身も営業を続けたい。
それなのに、病気という自分ではどうにもできない事情によって店を手放さなければならない。
店舗売却を仕事として数多く見ていても、こういう案件はやはり心に残ります。