最近の調査で、愛知県(名古屋含む)では2023年に飲食・理美容業あわせて約3,981件の開業があり、前年比で +6.6% と高い伸びを記録しました。
2024年は若干減の 3,725件 となりましたが、それでも 2022年比でほぼ横ばい(-0.2%)と、高水準の出店ペースを維持しています。
このことは「名古屋/愛知は新しい飲食店を始めやすい」「需要や顧客ポテンシャルがある」と見られている証拠といえます。
食べることは人間にとって基本のニーズで、「外食」への需要は大きくゼロにはならない — 特に家で作るのが面倒な人、リフレッシュや交流を求める人は安定した顧客層になりやすい。
また、地元住民を対象とした地域密着型、あるいは気軽な価格帯の店舗(例えば喫茶、小規模飲食店、居酒屋など)は、不景気・物価高の影響を受けづらい可能性があります。
名古屋市は中部地方の経済・交通の中枢都市であり、再開発・都市整備、宿泊施設の拡充、観光・MICE(会議・国際会議)誘致など、将来的な「人の流れ」「訪問客数」の回復・増加が見込まれています。
こうしたインバウンド(訪日外国人)や国内観光需要の回復は、飲食業にとって大きな追い風になり得る、という見通しも報告されています。
2025年10月時点で、「おつまみ(食材)などの値段は 1.2〜1.5倍」になっているという報告があります。つまり、原材料価格や光熱費の上昇により、飲食店のコスト負担がかなり重くなってきています。
こうした状況では、価格転嫁(値上げ)せざるを得ず、客数の減少や客単価の低下リスクを抱える店もあるでしょう。
名古屋は人口・経済規模が大きく、飲食店の”母数”も多いため、「他店との差別化」「地域ニーズへの対応」「コスト管理」「サービス/価格バランス」が求められ、簡単には成功しづらいとの指摘があります。
また、都心部では賃料が高めのエリアもあり、それが経営コストを押し上げる要因になる可能性があります。
愛知県の景気動向指数(CI)では、2025年8月時点で一致指数が前月比で低下、一致指数/先行指数ともに先月を下回るなど、景気の「足踏み」状態が報告されています。
つまり、飲食業界を取り巻く「消費全体」や「経済の流れ」が今後どうなるかによって、飲食店の売上・集客は影響を受けやすい状況です。
上述のように原材料やエネルギーコストの上昇に加えて、海外経済の減速、物価高の継続などが「景気全体」の重石になっており、消費マインドの冷え込みも懸念されています。
特に、コロナ禍後の“常態化”したインフレやコストアップの中で、価格とサービスのバランスを取るのは難しく、経営には慎重さが求められます。
私が考える、今の名古屋の飲食業界の“リアルな景気感”は、次のようなバランス感です:
「新規出店」「外食需要」「観光・再開発による流入」「地域の安定的な顧客基盤」に支えられて、『チャンスは多く』『構造的な需要は比較的安定』
ただし「コスト上昇」「競争激化」「経済全体の不透明さ」によって、『一部の強い店/差別化できる店以外は生き残りが難しい』
つまり、飲食全体としては“底堅さ”はあるものの、“勝ち抜く”のは簡単ではない──という状況、というのが現実のように見えます。
もしあなたが飲食店を経営している、あるいは開業を考えているなら、以下のような戦略・視点が重要になると思います:
原材料・光熱費の高騰を見越し、 価格転嫁+コスト管理 をしっかり設計する。
増えている新規飲食店の中で 差別化(コンセプト、サービス、地域密着、店の雰囲気など) を明確にする。
地元住民だけでなく、 観光客や訪日客、再開発エリアの新たな顧客 をターゲットにする。
景気の波にも耐えられるよう、 効率的なコスト構造 + 柔軟な経営スタイル を確立する。
短〜中期的には、インバウンドの回復や都市再開発、新しい出店ニーズに支えられて、 “増える/新しく始める”動きは継続しやすい とみられています。
ただし、 原材料や賃料・人件費の上昇が続けば, 経営環境としては厳しさも増す — 特に “何となく始める” 形の店より “コンセプト明確・効率経営” の店が残りやすい。
また、 消費者の節約志向 が強まる中では、高価格帯・高コストな外食より、コスパ重視の店、あるいはテイクアウト/デリバリーなど多様な選択肢を持つ店が有利になる可能性があります。
名古屋駅(名駅)・栄・金山は 人流の回復で強い。
単価の高い居酒屋より、 大衆系・コスパ系・ネオ酒場 が非常に強い。
若年層に強く、SNS映えするメニュー・内装の店が人気。
アフター5の飲み会復活。
インスタ・TikTok経由で爆伸びする店舗が多い。
食材・酒類の値上げで利益率が圧迫。
人件費の上昇。
→ コスパ系、短時間飲み、1〜2人飲み はまだ伸びる。
→ 個人店より チェーン系の勢い強め。
名古屋は全国的に見ても ラーメン激戦区化が進行。
行列店が次々出る一方、回転の悪い店はすぐ閉店も。
濃厚系(豚骨、鶏白湯、二郎系)
つけ麺
YouTube/SNS発の人気店
スープ原価の高騰で「原価率40%超」も珍しくない。
人手不足も深刻。
→ 依然として 最も人気の高いジャンルの1つ。
→ ただし 味・ブランド力の差 が勝敗を決める。
回転寿司系は依然として強い(ファミリー需要)。
個人のカウンター寿司は、富裕層需要はあるが、物価高でのび悩み。
「おまかせの低価格帯(6,000〜12,000円)」が増えている。
観光客狙いの寿司は名駅・栄で伸びる。
→ 観光客が増える限り伸びるジャンル。
→ 高級一本では戦いづらく、中価格帯の寿司が優位。
名古屋は スパイスカレーの流行が全国でも上位クラス。
20〜40代の支持が強く、SNSとも相性が良い。
カウンター少人数営業で 人件費を抑えやすい。
原価コントロールがしやすい。
→ 高確率で今後も堅調。
→ 小規模・低投資で始められる業態として人気継続。
名古屋は「喫茶の街」なので 需要は底堅い。
東区・大須・覚王山・星ヶ丘などはカフェ激戦区。
スペシャルティコーヒー、焙煎所併設
スイーツ特化
テイクアウト比率の高い店
人件費・食材費の値上げが利益を圧迫。
インスタで流行った店が数ヶ月で落ちるケースも多い。
→ 立地とコンセプト設計が命。
→ コーヒースタンドなど小規模店舗はチャンス大。
名古屋は全国6大都市でも 焼肉消費がトップクラス。
依然として「強いジャンル」。
一人焼肉
ロースターの煙が出ない低投資型
高単価の個室焼肉
肉の価格高騰で価格転嫁しないと厳しい。
→ 安定して強いが投資額が高いのでリスクも大きい。
物価高で食材(魚・野菜)が特に値上がりし、苦戦傾向。
しかし地元客の支持は強く、 安定感のあるジャンル。
高級路線(接待・会食)
定食・和定食の普段使い
→ 堅実なジャンルだが、利益率確保が難しい。
名古屋は洋食文化が根強いが、全体的に見ると 伸び悩み気味。
高単価のコース業態は特に厳しい。
パスタ特化(低投資)
洋食×カジュアルダイニング
→ 高コスト業態は厳しいが カジュアル中心なら安定。
フードデリバリーの成長が一段落したが、
テイクアウト専門店の勢いは続く。
チキン、韓国系、サンドイッチ、バーガー
小型店舗で人件費を抑えるモデル
→ 低投資・高回転なので 2025年以降も強いジャンル。
ラーメン(SNS×味の強さで勝てる)
スパイスカレー・エスニック
コスパ系居酒屋・ネオ大衆酒場
小規模カフェ・コーヒースタンド
テイクアウト専門店(チキン・サンドなど)
名駅
栄
大須
金山
伏見
今池
八事・星ヶ丘
本山・覚王山
など、希望エリアに特化した 「売れやすいジャンル」 をまとめることも可能です。