以下、複数の調査・報道から整理した、飲食店が閉店・倒産に至る主な要因です。
原材料(特に食材)や光熱費、人件費などが上昇しています。たとえば、「10年以内に約90%が閉店」という記事では、仕入れや光熱費の高騰を主要因に挙げています。
また、夜間営業・酒場系では「団体客の減少」「接待需要の縮小」「時短営業等の影響」が指摘されています。たとえば、2025年上半期の倒産動向で「日本料理店」で団体客の減少や企業接待の縮小が影響したと報じられています。
飲食店は参入障壁が比較的低く、特に「お弁当・惣菜」「ラーメン」「カフェ」など、形式化・標準化しやすい業態では飽和気味です。差別化が難しく、競争が激しいと閉店が早くなる傾向があります。
「新店数を閉店数が上回る」状況も確認されており、特に小規模・個店での淘汰が進んでいます。
コロナ禍以降、外食・中食(持ち帰り・宅配)など消費スタイルが大きく変動しました。これにより、従来の飲食モデル(夜の宴会、団体利用、酒場中心など)がダメージを受けています。また、少子高齢化・人口減少・都市部・地方の格差など、集客母数が縮小する地域も影響しています(間接的要因として報じられています)。
倒産件数の報告では、負債1,000万円~5,000万円未満の小規模倒産が全体の多数を占めています。つまり、経営体力が弱い店舗が淘汰されやすいという構造があります。
開業しても一定期間に収益構造を確立できずに閉店を余儀なくされるケースが多く、1年以内の廃業率が約30%というデータもあります。
チェーン店・大手では賃料交渉力がある場合もありますが、個店や新規開業者では賃料・物件取得コスト・改装費が重くのしかかるケースが少なくありません。
地方・郊外での人口減少・商業施設からの撤退など、立地環境悪化も影響しています。
ここで、最新の統計・報道を見ておきます。
2023年7月期における全国の飲食店舗数は82万5,712店舗で、前年同期比で9.1%減少。閉店数が新店数を上回っているという報告があります。
2024年の飲食店の倒産件数(負債1,000万円以上、法的整理)は894件で、前年(768件)比で16.4%増となり、過去最多を更新しました。
業態別で倒産件数が特に多いのは、居酒屋を主体とする「酒場・ビヤホール」。2024年ではこの業態で212件が倒産。 「3年以内の閉店」が極めて高い業態の調査もあり、たとえば、調査対象4,121件で「お弁当・惣菜・デリ」「そば・うどん」「ラーメン」「カフェ」「テイクアウト」は、6割以上が開業から3年以内に閉店しているというデータがあります。
これらから、閉店・倒産の流れが「増加傾向」であり、特に小規模・個人経営店舗・競争激化業態・夜営業主体の業態がリスク高といえます。
上述のデータから、「閉店しやすい業態」のトップ5を整理します。あくまで「比較的閉店リスクが高い傾向にある」という意味であって、必ず閉店するわけではありません。
| ランク | 業態 | 閉店・倒産が起きやすい理由 |
|---|---|---|
| ① | お弁当・惣菜・デリ(テイクアウト主体) | 飽和状態・差別化難・3年以内閉店率最も高い。標準化しやすく参入ハードル低い分、競争も激しい。 |
| ② | そば・うどん店 | 喫茶・軽食系と同様、価格競争・立地・固定費比率が高く、閉店が早まりやすい。 |
| ③ | ラーメン店 | 人気・参入も多いが、立地・競合・価格転嫁が難しい点などで閉店・倒産が目立つ。 |
| ④ | カフェ | 内装・雰囲気・立地・人件費などが重く、また利用者ニーズの変化が速く、3年以内閉店率が高い。 |
| ⑤ | 居酒屋・酒場・ビヤホール(夜営業主体) | 団体利用・宴会需要の減少、コスト上昇、夜間営業ゆえに規制・人材確保も難しい。倒産件数で最多。 |
補足として、「和食」「寿司」「フランス料理」など技術・専門性が高く、開業障壁も大きめの業態は、3年以内の閉店割合が比較的低いというデータもあります。
ただし「閉店しにくい」=「安心」ではなく、経営環境の変化には注意が必要です。
トップ5の業態が特にリスクが高い理由を、もう少し掘り下げます。
お弁当・惣菜・デリ、そば・うどん、ラーメンなどは「比較的安価/単価が低め/回転重視」といったモデルが多くなりがちです。こうしたビジネスモデルは、少し収益が下振れすると固定費・変動費を吸収しきれない構造になりがちです。
新規参入が多く、差別化が難しいため競争が激化します。特に、ネットで「ラーメン開業」「カフェ開業」などの情報が豊富な業態は、失敗例も多く出ています。
安価モデルでは、食材費・光熱費・人件費などが上振れした時に価格転嫁が難しいことがあります。特に消費者が値上げを嫌うケース、価格競争が激しいケースでは正しい値付けが難しくなります。
居酒屋・酒場では、団体予約・宴会・酒類提供が主な収益源という店舗が多く、コロナ禍でその需要が減少しました。今も完全回復していない上、酒税・アルコール依存型モデルの風当たりもあります(例:時短営業、人手難)。このように構造的にリスクが高くなっています。
小規模・個店では、賃料・内装・設備投資・人件費負担が重く、しかも収益変動に弱いため、少しの外部ショック(食材高騰、電気料金上昇、消費減)で持ちこたえられないケースもあります。
最後に、飲食業界の閉店・倒産を巡る今後の動向と、関係者として押さえておくべきポイントを挙げます。
倒産件数・閉店数とも 増加傾向 にあります。たとえば、2024年の倒産は過去最多の894件。
店舗数が減少しており、小規模個店の減少が特に目立ちます(2023年7月期で▲9.1%)。
経営を続けるには、「収益モデルの見直し」「コスト管理」「固定費の最適化」「立地・業態の選定」「差別化・ブランド化」がますます重要です。
特に、安価・高回転モデル/夜営業・団体依存モデルは「構造的に弱い」可能性があるため、新規開業・既存店舗のリニューアルを考える際は慎重さが求められます。
また、地域・立地条件も重要です。人口減少地域・郊外・駅近ではない立地でのリスクが高まっています。
最終的には、「単に開く」だけではなく「持続可能な経営」が必要な時代であり、飲食業も他業種同様に生き残りのための構えが変化しています。
2024年の国内飲食店の倒産件数は 894件。前年(768件)比で16.4%増。
2025年上半期(1~6月)の倒産件数は 458件。前年同期(435件)を上回り、3年連続増加。
飲食店舗数そのものも、2023年7月期時点で82万5,712店舗、前年同期比で▲9.1%と大きく減少。
これらから、「飲食店全体として倒産・閉店が増加しており、かつ新規出店数を閉店数が上回る状況」が明らかです。
以下、具体的に業態別で確認できるデータを整理します。
| 業態 | 倒産件数/傾向 |
|---|---|
| 酒場/ビヤホール(いわゆる居酒屋系) | 2024年における倒産件数:212件。 また、2024年1~9月の業態別では「酒場、ビヤホール」が160件で最多。 |
| 中華料理店・その他東洋料理店(ラーメン店含む) | 2024年「中華料理店・その他東洋料理店」が158件。 2024年1〜9月では117件。 |
| 西洋料理店 | 2024年1〜9月倒産件数:90件。 |
| 日本料理店 | 2025年上半期で「日本料理店」の倒産が急増し過去最多。 |
| そば・うどん店 | 2024年で27件。また、1〜10月「そば・うどん店」は前年同期比+50%増(10→15件)という記録も。 |
2023年7月期時点で、全国飲食店舗数825,712店舗、前年同期比で▲9.1%減。
業態別に店舗数が減少している例として、和風居酒屋は前年同期比▲13.8%、従来型喫茶店は▲10.3%。
このように「閉店が新規出店を上回った」ことが明確になっています。
上記は「倒産件数(法的整理など)」と「店舗数の純減(閉店-新店差)/店舗数減少率」のデータが混在しています。倒産=必ずしも“閉店”とは限らず、休廃業や再構築も含まれます。
また、「倒産件数」を母数(例えばその業態全体の店舗数)で割った“倒産率”という形のデータは、公開資料としては多くありません。そのため「比率」で他と厳密に比較するのは難しいです。
たとえば「ラーメン店」「カフェ」などで“開業から〇年以内閉店率”という細かい数字は、私の検索範囲では最新の全国データが見つかりませんでした。
地域・立地・規模(個人経営/チェーン)などによっても閉店・倒産リスクが大きく異なるため、業態だけで一概に判断するのは危険です。
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