はじめに|400万円で買主が見つかった。それでも居抜き売却は成立しなかった。
名古屋市で飲食店や店舗の居抜き売却を検討されているオーナー様へ。
今回は、私たち「居抜キング(INUKING)」が実際に取り扱った、非常に残念な不成約事例をご紹介します。
名古屋市千種区今池にあった、ある飲食店のお話です。
売主様から店舗売却のご相談をいただき、造作譲渡価格400万円で募集を開始しました。
すると、募集開始後、早い段階で買主候補が見つかりました。
厨房設備や内装などの造作についても、売主様と買主候補の間で条件がまとまり、売却に向けて話が進んでいました。
ところが、その後、思いもよらない問題が発覚しました。
雨が降ると、店舗内の厨房上部から雨水が落ちてくるという、深刻な雨漏りがあったのです。
私たちは、すぐに貸主へ修繕をお願いしました。
しかし、修繕の依頼は受け入れられず、雨漏りの問題を解決することができませんでした。
その経緯を買主候補へ説明したところ、購入を見送るという判断になりました。
結果として、400万円で進んでいた居抜き売却の話は白紙になってしまいました。
売主様は、非常に悔しがっていらっしゃいました。
私たちも、本当に残念でした。
今回の事例は、居抜き売却において、厨房設備や内装の価値だけではなく、建物の状態や貸主の修繕対応がいかに重要であるかを示しています。
成功事例だけでは伝わらない、居抜き売却の現実。
今回は、その経験を詳しくお伝えします。
※本記事は実際の取扱事例に基づいていますが、関係者や物件の特定を避けるため、所在地や物件情報の一部を非公開・概数で記載しています。また、売主様と買主候補の間で造作条件がまとまった段階の事例であり、売買契約の成立や400万円の代金決済が完了していたという意味ではありません。
第1章|名古屋市千種区の飲食店。400万円で居抜き売却を開始
売却対象となった店舗の概要
今回の事例は、名古屋市千種区今池にあった飲食店です。
店舗の広さは約20〜30坪。
厨房設備や客席の内装などを残し、次の出店希望者へ引き継ぐことを目的として、居抜き売却の募集を開始しました。
【取扱事例の概要】
所在地:名古屋市千種区今池
業態:飲食店
店舗面積:約20〜30坪
募集造作価格:400万円
募集後の状況:早期に買主候補が見つかる
造作条件:売主様と買主候補の間で合意
発覚した問題:降雨時の雨漏り
主な漏水箇所:厨房上部
貸主への対応:修繕を依頼したが、修繕の合意に至らず
最終結果:買主候補が購入を見送り、居抜き売却は不成約
400万円という金額は、実際に募集した造作譲渡価格です。
ただし、売却は成立していないため、成約価格ではありません。
また、本事例の原状回復費用や保証金の精算額については、ここでは公表していません。
居抜き売却は、買主との出会いが重要
飲食店の居抜き売却では、買主を見つけるまでに時間がかかる場合があります。
立地や賃料が良くても、次の出店者が希望する業態と設備が合わないことがあります。
また、造作価格や賃貸条件が合わず、交渉が進まないこともあります。
しかし、今回の店舗では、募集開始後、早い段階で買主候補が見つかりました。
さらに、造作譲渡についての条件もまとまりました。
売主様にとって、これまで大切に使用してきた厨房設備や内装を、次の出店者へ引き継げる可能性が見えてきた瞬間でした。
だからこそ、その後の展開は非常に残念なものでした。
第2章|雨の日に発覚した、厨房上部からの雨漏り
飲食店の厨房に雨水が落ちてくる
問題が発覚したのは、雨が降ったときでした。
店舗内に相当量の雨漏りが発生することが分かったのです。
しかも、雨水が落ちてくる場所は厨房の上部。
雨が降ると、天井付近からぽたぽたと水が落ちてくる状態でした。
飲食店にとって、厨房は営業の中心となる場所です。
食材を保管し、調理を行い、お客様に提供する料理をつくる場所です。
その厨房に、建物から雨水が落ちてくる。
これは、単に床が濡れるという問題ではありません。
食材や調理器具への影響。
厨房機器や電気設備への影響。
衛生管理上の問題。
従業員の安全。
営業継続への不安。
さまざまなリスクが考えられます。
内装がきれいでも、建物に問題があれば売却は難しくなる
居抜き売却では、厨房設備や内装の状態が重視されます。
業務用冷蔵庫は使えるか。
製氷機は正常に動くか。
換気設備は利用できるか。
客席やカウンターはそのまま使えるか。
もちろん、こうした点は重要です。
しかし、どれほど設備が充実していても、建物自体に深刻な問題があれば、買主の判断は大きく変わります。
特に、雨漏りは天候によって発生状況が変わるため、晴れた日の内覧だけでは確認できない場合があります。
今回の事例では、造作価格について合意していたにもかかわらず、建物の雨漏りという問題によって、売却を進めることが難しくなってしまいました。
居抜き売却では、店舗の中にある設備だけでなく、建物そのものの状態も重要なのです。
第3章|貸主へ修繕を依頼。しかし、問題は解決しなかった
雨漏りが発覚した後、私たちは貸主へ修繕を依頼しました。
次の出店者が安心して営業するためにも、雨漏りの問題を解決する必要があると考えたからです。
しかし、今回の修繕依頼は受け入れられず、問題の解決には至りませんでした。
私たちとしても、非常に残念な状況でした。
せっかく買主候補が見つかった。
造作譲渡についても条件がまとまった。
売主様は、次の出店者へ店舗を引き継ぎたいと考えている。
それでも、建物の問題が解決しない。
こうした状況では、買主候補が購入をためらうのも無理はありません。
店舗の雨漏りは、原則として誰が修繕するのか?
ここで、賃貸店舗における修繕義務について確認しておきましょう。
民法第606条第1項では、賃貸人は、賃借物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負うと定められています。
ただし、修繕が必要になった原因が借主の責任による場合など、例外があります。
また、事業用賃貸借契約では、修繕負担について特約が定められている場合もあります。
そのため、雨漏りが発生したからといって、すべてのケースで貸主が無条件に修繕費用を負担すると断定することはできません。
雨漏りの原因。
賃貸借契約の内容。
修繕負担に関する特約。
建物の状態。
こうした事情を確認する必要があります。
今回の事例についても、貸主が修繕に応じなかった理由や法的な責任について、確認できていない事情を推測で断定することは避けたいと考えています。
ただし、雨漏りの問題が解決しなかったことが、居抜き売却の成立を妨げる大きな要因になったことは事実です。
第4章|雨漏りの経緯を買主候補へ説明。その結果、購入見送りに
私たちは、雨漏りの状況と、修繕が実現していない経緯を買主候補へ説明しました。
その結果、買主候補は購入を見送る判断をされました。
これから飲食店を開業しようとしている方にとって、開業前から厨房の雨漏りが分かっている店舗を借りることには、大きな不安があります。
雨漏りはいつ解消されるのか。
営業開始後も続くのではないか。
厨房設備が故障するのではないか。
衛生管理に支障が出るのではないか。
こうした問題を抱えたまま、400万円の造作代金を支払って出店することは、簡単な決断ではありません。
買主候補の判断も、十分に理解できるものでした。
不具合を説明しないまま売却することはできない
「雨漏りを説明しなければ、売却できたのではないか」
そのように考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私たちはそのような方法を選びません。
居抜き売却では、買主の判断に影響する重要な不具合について、正確に説明することが大切です。
雨漏りを知りながら説明せずに売却を進めれば、後から契約上の責任や損害賠償を巡るトラブルにつながる可能性があります。
特に、厨房上部から雨水が落ちてくるという問題は、飲食店の営業に直接関係します。
売却を成立させるために不具合を隠すことは、売主様にとっても買主様にとっても望ましい方法ではありません。
私たちが大切にしているのは、契約を成立させることだけではなく、売主様と買主様の双方が納得できる取引を目指すことです。
今回の売却は成立しませんでした。
それでも、確認できた問題を正確に説明することは、必要な対応だったと考えています。
第5章|売主様の悔しさ。今でも忘れられない不成約事例
今回、何よりも残念だったのは、売主様のことです。
募集開始後、早い段階で買主候補が見つかりました。
400万円という造作価格についても、条件がまとまりました。
売主様にとっては、大切に使用してきた厨房設備や内装を次の出店者へ引き継げる可能性が見えていたはずです。
ところが、雨漏りが発覚しました。
修繕をお願いしても、問題は解決しませんでした。
その結果、買主候補が購入を見送り、売却の話は白紙になってしまいました。
売主様は、本当に悔しがっていらっしゃいました。
私たちも、何とかできなかったものかと、非常に残念に感じました。
飲食店のオーナー様は、開業するために多くの時間と費用を投じています。
厨房設備を購入し、内装を整え、毎日の営業を続けてきた。
そんなお店を閉店する際、少しでも造作代金を受け取りたいと考えるのは自然なことです。
しかし、居抜き売却では、売主様の努力だけでは解決できない問題が発生する場合があります。
今回のような建物の雨漏り。
貸主との修繕条件。
管理会社との調整。
買主の入居審査。
こうした要素によって、売却の結果が変わることがあります。
買主が見つかっても、売却できないことがある。
この現実を、私たちは改めて痛感しました。
第6章|保証金を返金できない貸主も?店舗賃貸の現場で感じる厳しさ
今回の雨漏りとは別に、店舗賃貸の現場では、保証金や敷金の返還を巡る問題に接することもあります。
退去時に返還されるはずの保証金について、貸主側の資金事情などから、精算や返還が円滑に進まないケースです。
もちろん、多くの貸主様は契約内容に従って適切に対応されています。
しかし、建物の維持管理費や修繕費、借入金の返済など、貸主側にもさまざまな経済的負担があります。
飲食店の経営が厳しいように、賃貸ビルの経営も決して楽なことばかりではありません。
どの業界も、厳しい時代なのだと感じることがあります。
保証金の返還について確認しておきたいこと
保証金や敷金の返還額は、賃貸借契約の内容によって異なります。
例えば、契約書に保証金の償却や敷引きが定められている場合があります。
また、未払い賃料や借主負担の原状回復費用などが差し引かれる場合もあります。
そのため、預けた保証金が必ず全額返還されるわけではありません。
一方で、契約上返還すべき金額があるにもかかわらず、支払いが遅れる場合には、別の問題が生じます。
閉店や退去を検討する際は、保証金の返還条件や返還時期についても、早めに確認することが重要です。
なお、今回ご紹介した千種区の飲食店で、保証金の返還不能が発生したという意味ではありません。
ここでは、店舗賃貸の現場で見られる別の課題として取り上げています。
第7章|今回の事例から学ぶ、居抜き売却前に確認したい7つのこと
① 雨漏りや漏水の有無を確認する
晴れた日の内覧だけでは、雨漏りが分からない場合があります。
天井のシミ、壁の変色、床の水濡れなど、異常がないか確認しましょう。
過去に雨漏りが発生している場合は、その履歴や修繕状況も重要です。
② 貸主の修繕対応を確認する
雨漏りなどの不具合がある場合、早い段階で貸主や管理会社へ相談することが重要です。
修繕の可否や予定について、できるだけ書面で確認しましょう。
③ 買主へ重要な不具合を説明する
雨漏り、排水不良、厨房設備の故障など、買主の判断に影響する不具合については、正確に説明する必要があります。
問題を隠して売却を進めることは、後のトラブルにつながる可能性があります。
④ 造作価格の合意だけで安心しない
買主候補が見つかり、造作価格について合意しても、売却が確定したわけではありません。
建物の状態、貸主の承諾、賃貸条件、入居審査など、さまざまな条件を確認する必要があります。
⑤ 管理会社との連絡体制を整える
条件確認や修繕対応の回答が遅れると、買主候補の購入意欲が低下する可能性があります。
確認事項を整理し、回答時期の目安を共有することが重要です。
⑥ 売却できなかった場合の撤退費用を確認する
居抜き売却には、必ず成約するという保証はありません。
原状回復費用、厨房設備の処分費用、退去までの家賃なども事前に確認しておきましょう。
⑦ 早めに専門業者へ相談する
居抜き売却では、造作価格の査定だけでなく、貸主との条件調整や建物の不具合への対応も重要です。
閉店が決まってから慌てて動くのではなく、早い段階から売却の可能性を確認することをおすすめします。
第8章|居抜キングが大切にしているのは、売主様の立場で考えること
私たち居抜キングは、飲食店を閉店されるオーナー様の助けに、少しでもなりたいと考えています。
1円でも高く売ってあげたい。
1日でも早く買主を見つけたい。
原状回復費用を少しでも減らしたい。
その想いで、日々店舗売却に取り組んでいます。
しかし、今回のように、私たちや売主様の努力だけでは解決できない問題が発生することもあります。
だからこそ、私たちは成功事例だけでなく、不成約事例もお伝えしたいと考えています。
なぜ売却できなかったのか。
何が障害になったのか。
事前に確認できることはなかったのか。
こうした経験を次の店舗売却に活かすことが、私たちの役割だと考えています。
居抜き売却には、良い面だけでなく、難しい面もあります。
その現実を正直にお伝えすることが、これから店舗を売却されるオーナー様の役に立つと信じています。
まとめ|400万円の居抜き売却が白紙に。建物の状態と貸主の対応が成約を左右する
今回ご紹介したのは、名古屋市千種区にあった飲食店の不成約事例です。
造作価格400万円で募集を開始し、早い段階で買主候補が見つかりました。
造作についても条件がまとまっていました。
しかし、雨の日に厨房上部から雨漏りが発生することが分かりました。
貸主へ修繕を依頼したものの、問題は解決しませんでした。
その経緯を買主候補へ説明したところ、購入を見送ることになり、居抜き売却は不成約となりました。
売主様が大変悔しがっていらっしゃったことが、今でも印象に残っています。
買主が見つかっても、売却できないことがある。
造作価格で合意しても、建物の問題によって白紙になることがある。
これが、店舗売却の現場で実際に起こることです。
私たち居抜キングは、こうした経験を次の店舗売却に活かしていきたいと考えています。
そして、これから閉店を検討されるオーナー様には、厨房設備や内装だけでなく、建物の状態や貸主の対応についても、早めに確認していただきたいと思います。
大切なお店を、少しでも良い条件で次の出店者へ。
1円でも高く、1日でも早く。
これからも、一件一件のご相談に真剣に向き合ってまいります。
名古屋で飲食店・店舗を居抜き売却したいオーナー様へ
「名古屋で飲食店を売却したい」
「買主が見つかっているのに大家との交渉が進まない」
「雨漏りがある店舗でも売却できるか知りたい」
「原状回復費用をできるだけ抑えたい」
「厨房設備や内装を高く売りたい」
「営業中に秘密で買主を探したい」
そんなお悩みをお持ちのオーナー様は、ぜひ居抜キングへご相談ください。
居抜キングでは、名古屋市を中心に愛知県全域で、飲食店・店舗の居抜き売却に関するご相談を承っています。
長年の不動産業務で培ってきた経験、人脈、WEBを活かし、店舗の条件に合う買主探しに取り組んでいます。
売却できる可能性だけでなく、売却が難しい条件や、売却できなかった場合のリスクについても、できるだけ分かりやすくお伝えします。
大切なお店を、次の出店者へ。
1円でも高く、1日でも早く。